豊橋市美術博物館で開催中のモーリス・ユトリロ展に行って来ました。
この展覧会を観るまでのユトリロのイメージは、
パリをこよなく愛し、その街角の風景を静かな穏やかな眼差しで見つめ続けた巨匠。
白いしっくい壁の建物と、遠近法を用いた表現が印象的な画風・・・ぐらいなものでした。
それらがこの展覧会を観ることで、そんな単純でないことがわかり、絵から受ける印象もまったく違うものになりました。
私生児、酒びたり、アルコール依存症、幽閉、孤独、屈折愛、自分より年下の義父、金のために絵筆を強制etc.etc.・・・
波乱に満ちたユトリロの人生を彩る過激なキーワードが並びます。
詩的で綺麗な絵であることは間違いないのですが、そうした彼の心の内面を少し知ることで、その感情がストレートにタッチや色に反映していることがわかってきました。
孤独な寂しい絵・・・
それにしても、白い壁や、建物の隙間から見える空の、言いようのない深みのある色づかいや表情は凄いです。