いつもお世話になっている業者さんからのお誘いを受け、能楽を堪能して来ました。
能楽にしっかりと触れたのは始めての経験でした。
感想は・・ワカラナイ・・でした。
けれども、です。
第2部の講演会(講師:哲学者、武道家 内田樹氏)を聴いて一気に「能をやってみようかな・・」というところまで引き込まれました。
それほどわかりやすく楽しい口調そして内容でした。
*能楽の魅力は、そもそも見て聴いて訳わからないところ。
*独特な身体の動きである”摺り足”は、自分から能動的に動くものではなく、見えない大きな力で前面から受動的に引っ張られる感覚でないと表現できない。
*両腕を広げる所作は、身体全体を覆うゼリー状の塊の中を浮遊する感じ。
etc.etc.
というような、自ら能をされる方ならではの技法の解説から、中世(平安末期〜鎌倉・室町)日本人が、どのような言葉で、どのような所作で、何を考えて生きていたのか?・・それをわかりたくて能を始めた、という興味深いエピソードまで、一つ一つの言葉に引き込まれました。
そしてその哲学的な解釈には日本人として納得できる気がします。
”自然と人間の境界には「壁」とか「門」とか「石」とか堅牢なバリヤーが置かれるのが普通です。「何か」が人間の世界に入り込まないように、人間が道に迷ってうっかり「向こう側」に踏み入らないように境界線を管理するのです。でも中世日本人はそこに無生物ではなく、よく整えられた生身の身体を置くという手立てを思いつきました。整えられた身体は野生と人間を媒介し、架橋することができる。これはおそらく日本列島に独特の発想だと思います。そしてそこから「修行」という方法、「道」という概念が生まれてきた。”
難しいけれど何となく腑に落ちる、という気がしませんか?^^