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2011年7月20日(水) 19:08

被災地vol.4

 
7年前の従兄弟の家です。


海から50mぐらいのところにあるこの家のあたりは、昭和35年のチリ沖地震で津波の被害を受けたため、建替え時、4m程高い裏の道路にレベルを合わせた人工地盤を鉄骨とコンクリートで造り、その上に木造住宅を建てました。

それが今回・・・(初めの2枚の写真は、上の写真と同じ立ち位置で撮りました。)

 

 

 

 

人工地盤のコンクリートの床が数m移動し、上の住宅は跡形もありませんでした。
高い裏道路沿いに建つ住宅の屋根まで波は来たようです。

現地は・・・

潮の香り。
土ぼこりの匂い。
腐敗臭。
黒だかりのハエ。
雑巾を絞ったかのような状態の木材、トタン板。
泥だらけの片方だけの靴。
土と海草にまみれたタイヤ・洗濯機・カバン・冷蔵庫。
ひっくり返った舟。
水と泥につかったタタミ。
ぼろぼろの本・ノート。
飴細工のような自転車。
それらに絡みつくような魚網・ブイ・ビニール紐・破れたブルーシート。
etc.etc.

そしてやっぱり、

不気味な沈黙。
不思議な静寂。

人や建物だけでなく、その日その時の生活、音や匂いや空気や時間までをも津波が持ち去ってしまったかのような光景です。

言葉ひとつ出ませんでした。

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2011年7月20日(水) 17:11

被災地vol.3

不気味な沈黙。不思議な静寂。

・・・大槌の街の印象でした。

360°見渡すことが出来てしまう荒野のような風景。
たまに動きがあるのが、はるか遠くで作業している数台の重機とダンプぐらい。

街にあるはずの喧噪や音たちがない・・・


 

 

 

 

正確には街であったはず、のところ。

「随分片付いたんだよー」と、従姉妹。

確かに、道路は通れる、瓦礫は山ほどあるけれど、ある程度場所を決めて集積されている。住宅(であったはず)の廻りに壊れた部材ひとつない、本当に何もない。基礎しかない。

けれど、です。

片付いたか、片付いていないか、という感覚の話ではありません。


何なんだ!?これは!?


高さ10数メートルもの水のかたまりが、とにかく何もかも、何でもかんでも巻き込んで、ぐちゃぐちゃにシャッフルしながら押し寄せ、もう1回その逆をやりながら引き去った・・・だろう、跡・・・をとりあえず車が通れるようにしただけ・・・の状態。

 

  

 

大槌の街は、津波と同時に大規模な火災が発生し、火がついたままの家、車、樹木などが波とともに山裾の高台に押し寄せ、津波の被害を免れた地域までも,その類焼で2次被害を受けています。

葬儀を行ったお寺さんの庫裏(くり=住職の住宅)も本堂も、その火災で全焼だったそうです。

 
その庫裏跡から海方向を見る。
真新しい電柱と電線が異様です。

津波で全壊した従兄弟の家へ⇒vol.4で。

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2011年7月11日(月) 23:01

被災地Vol.2

被災地Vol.1からの続きです。

大槌町へは、東北新幹線新花巻駅から車で向かいました。
国道283号線、通称釜石街道を西進、途中”遠野物語”で有名な遠野市を経由して、約2時間半で釜石に着きます。

道路沿いに現れる内陸部の街々には、普通の生活風景があり、東北の山あいの、のどかで落ち着いた初夏の陽ざしと緑に溢れていました。

何も変わってないんだー・・・、よかったー・・・。

そんな錯覚は釜石市内に入っても、しばらく続いていました。

しかし中心街に入ってくると・・・、

右手少し高台にある、新日鉄釜石の敷地内に、下から見上げてもわかるほどの瓦礫の山。 

左折してJRの線路下をくぐる道路上にある道路標識がめくりあがっている! 

JRの駅と新日鉄は少しばかり高台にあり、難を逃れましたが、そこから先の中心街は壊滅状態です。

風景が一変します。いきなり、です。

     

街並みはある、建物もかろうじては残っている、けれど、人がいない。

ゴーストタウン。

建物は1階から3階あたりまで、爆破されスケルトンになってしまったかのような状態です。
もうぐちゃぐちゃ。


釜石の街から北へ、三陸海岸沿いに10数Km走ると大槌町ですが、その道すがら、結局言葉を発することができませんでした。

出てくるのは驚愕の吐息とタメ息ばかり・・・。

大槌町に入ります。⇒Vol.3で。

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2011年7月6日(水) 21:07

Today's Swallow5

何があったんでしょうか・・・?

2〜3日前まではずっと暖めていたのに、突然HOMつばめは巣に戻ってこなくなりました。
いつもの少しのお出掛けかなと待っていたんですが、どうも様子がおかしい。

覗いてみたら・・

 卵がない!

10日程前に撮った写真

 

比べても、巣が荒らされた様子はないし、巣の下にも卵どころか、巣のかけらひとつ落ちていないんです。

何があったのか?

襲うやつ等は、猫、カラス、蛇。どれにやられたにしても、あまりに巣自体が壊れていませんよね。
お抱えガードマンとして目を光らせていたつもりなんですが・・・。


当面の希望の光だっただけにショックでした

また来年戻ってきてくれるのでしょうか?

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2011年7月5日(火) 23:27

被災地vol.1

このブログでも幾度となく書いてきた、東日本大震災の被災地、岩手県大槌町に行ってきました。
太平洋に面する三陸海岸、釜石市の少し北に位置する、人口15,000人の、漁業と観光が基幹産業の小さな町です。

町全体で1,600人もの方が死亡又は行方不明、4,000人の方が避難所生活、という惨状です。

そこの町役場に従兄弟は勤務していました。

役場では町長はじめ職員136人中30数名の方が死亡又は行方不明・・・

従兄弟はその時役場にはいませんでした。
別の場所で仕事をしている奥さんからの電話で、海沿いに建つ自宅へ、学校から戻った娘を避難させるために戻ったそうです。

車で自宅に戻った彼は、裏の高台にある知合いの家に娘を託し、自分は何故か徒歩で海沿いの道を役場に向かい戻って行ったようです。その途中、大津波に遭遇・・

そのまま娘と避難してれば助かったのに、どうして?・・

推測ですが、本人は、
<あの揺れだから津波は来るだろう。
<戻ってくる途中、多くの人たちが道路や家の周りでたむろしていた。
<役場の人間として、避難の声掛けをしながら戻ろう。
<車は別の避難者たちで渋滞するだろうから。
・・・で、海から50Mと離れていない全く平坦な道を歩いている途中・・・だったようです。
まさかあんな大きな津波が来るとは思わず、に。

津波に関しては、僕らの比ではない危機感、緊張感を持っていた地元の方でさえ今回の規模は全くの想定外だったようです。

その従兄弟はそうした経緯で行方不明。

もうひとりの従姉妹は、地震直後高台にある自宅に戻る途中、海に向かう幹線道路を車で走っていて、あと交差点2つ目を曲がれば家、と言うところで、前(海側)から家と瓦礫を巻き込んだ10m近い真っ黒な壁がこちらに向かってくるのが見えたため、急遽普段使わない獣道のような狭い道路にはいりこんで自宅に戻り、間一髪無事でした。

紙一重の運命。

自然の脅威には人間は太刀打ちできません。

その行方不明のままの従兄弟、家族が区切りをつける、という決断をしました。
同じように被災された、お寺さんの仮設プレファブ本堂で葬儀がありました。

姿の見えないままの葬儀、家族にとっては苦渋の決断です。

そんな気持ちに応えるような、丁寧な、心のこもった法要をしていただきました。

街全体、心理的にも物理的にも喪中と言っても過言ではない状況を目の当りにして、
まさに五感で感じなければわからないことがたくさんありました。

その一端、ほんの少しでもこの場で伝えたいと思っています。

親戚というだけで、よそ者の僕が伝えられることなどたかが知れているかもしれません。
それでも、です。


被災地で感じたこと、大きな2つ。

*.人たちは程度の差こそあれ、個人レベルでは前向きになられている感じを受けました。
生きていかなきゃならないから。
個人々々は強いです。

*.深刻なのは、津波で破壊された街。個人レベルではいかんともし難い惨状です。
今こそ政治の出番だと本当に強く感じました。今こそ強力なリーダーシップを発揮して欲しい!
今の政治は弱過ぎます



思い切り大衆的な一般的な意見ですが、
やはり政治家の方たちはまず現地の状況をしっかり見て、地元の人たちと同じ立場に立って充分に話す、これに尽きるんじゃないでしょうか?

こんな簡単なことができない日本の政治家には、"怒り"よりも言葉は変ですが、"恐怖"すら感じます。


国会議事堂内では見えないことがたくさんあります。

************

次回は写真を交えてののレポート

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2011年6月29日(水) 22:25

ハレの日&晴れの日

梅雨の中休み、と言えるほど今年の梅雨は今のところ、らしくありませんよね。
それどころかこの猛暑! 

もうこれ以上の日はない、っていうぐらいの晴れの日、現場も”ハレ”の日でした。

お施主さんの用意していただいたお茶、ポカリスエットなどが職人さんたちの熱中症対策に充分な効果を発揮した今日、建方でした。

  

暑かったー。楽しかったー。嬉しかったー。も1回、暑かったー


ついでに、HOMつばめ情報。

 0627

6月22日頃から卵を温め始めています。

主がお出かけ中にちょっと覗かせてもらいました。



ありました!
 

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2011年6月18日(土) 20:20

Today's Swallow3

毎日眺めていると、やっぱり情が湧いてきますね。
先回のブログでも言ったように、ツバメは天敵(カラス、蛇、猫)から身を守るために、あえて人間の近くに造巣します。だから人間は”静かに見守る”のではなく、むしろ積極的に”外敵が近づかないよう監視する”、というスタンスでいるべきなんだそうです。了解です!

ツバメに関する言い伝えを調べてみると、たくさんあるんですね。

「ツバメ」が巣をかける家は縁起が良い。(千葉、新潟、愛媛、宮崎など) 
「ツバメ」が巣をかける家は吉事がある。(茨城、愛知、香川)
「ツバメ」が巣をかける家は病人が出ない。(栃木、千葉)
「ツバメ」が三度巣をかけると千万長者になる。(愛知)
「ツバメ」の巣が多いほど、その家は繁昌する。(栃木)
「ツバメ」が家の中や座敷に巣をかけると最高にめでたい。(宮城、石川、福岡など)
「ツバメ」が自在カギに巣をかけると金持ちになる。(長野)
「ツバメ」は衰える家には巣をつくらない。(山形)
「ツバメ」は火事を出す家には巣づくりしない。(秋田、山形、愛知、山口など)
「ツバメ」は田の神様を負うてくる。(広島)
「ツバメ」が家の軒に巣をかけると豊作。かけぬと不作。(長野)
・福島県耶麻郡では「ツバメ」が巣をつくるとアズキ飯を炊いて祝った。
・新潟県南魚沼郡では「ツバメ」は大神宮様のお使い、つまり穀神のお使いだと考えられていた。(以上「鳥のことわざウォッチング」)
「ツバメ」が低く飛ぶと雨。 
「ツバメ」が高く飛ぶと晴。(雨が降る前は水面近くを多くの昆虫が飛んでいるからだろう。)
「ツバメ」が巣をつくる家は縁起が良い。
「ツバメ」の巣が多いほど繁昌する。(実は「ツバメ」の方が人の出入りの多い家を選んでいる。)
「ツバメ」が巣をつくった家は火事にならない。
「ツバメ」が巣をつくらなくなったら火事に気をつけろ。
「ツバメ」を殺すと火事になる。


こうした言い伝えのイメージと、実際の可愛さ、飛行姿の華麗さなどから、”つばめ”は会社名や愛称などにもたくさん使われていますよね。

その中で今日は僕が尊敬して止まないデザイナー水戸岡鋭治氏による”九州新幹線つばめ”をご紹介

   

外にも内にもたくさんのつばめがあしらわれています。特に先頭車両外観サイドラインの飛行軌跡が大好きです。

で、今日のHOMツバメ(命名しました)。

かなり出来上がってきました。  

ちょっと上から覗かせてもらうと、  キレイなお椀型になっています。

その後、座り心地を確認して、  

また作業開始、で飛び立っていきました。  

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2011年6月14日(火) 23:12

Today's Swallow2

泥と枯草を唾液で固めて巣を造るんだそうですが、あんな小さな口から出る唾液で大丈夫なんでしょうか?

 0609  0610
 
 0612  0614

着実に、それこそ建設的に出来上がっていきます。スゴいです。

ちなみに廻りのロケーションはこんな感じ。



人家の軒下に作るのは、人に寄り付こうとしないカラスが天敵のためだそうです。
燕は人間を敵と見ていないんですね。

確かに写真を撮るためかなり近づいても逃げません


 

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2011年6月9日(木) 10:40

Today's Swallow1

数日前から僕の自宅兼事務所の駐車場にツバメが巣を作り始めました。

なんだか嬉しいので、記録してみます。

とりあえず2日分。

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2011年5月20日(金) 10:36

祝!九州新幹線開通!

遅ればせながら、九州新幹線が開通しました。

3月12日というあまりのタイミングの開通日だったために、その存在すらもみ消されてしまった感があります。

けれど、忘れちゃあいけません!特に九州の方たちにとっては待ちに待った嬉しいニュースですよね。

隠れ(!?)乗り鉄鉄道ファン+さくら車両デザインをされた水戸岡鋭治氏ファンを自称する僕にとっても、です。

そのJR九州のTVCM、企画の素晴しさ(新幹線開通のCMなのに、新幹線を映さないで、沿線風景とその住民参加、という)にまず拍手です。

そして映像からもらえる「嬉」、「楽」、「結」、「連」、「力」みたいなものが、今の日本人に直球でぶつかってくる編集になっています。
そう思うのは、今、というタイミングでの偶然なのかもしれませんが、マイア・ヒラサワさんのBGMとの相乗効果もあり、自然と笑顔と元気になれる本当にいいCMです。

大震災による自粛で、幻のCM、といわれるほど話題になったもの。
youtubeでみつけたJR東日本CMを加え編集された映像を貼り付けます




去年の7月のHOMブログ(⇒そこまで・・・)です。
今見ると、この九州新幹線搬送風景の写真、合成っぽく見えますよね

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